奈良県産・ブランド地鶏「大和肉鶏」


〜“大和かしわ”の伝統復活めざして〜 暖冬の予測を覆す今年の冬、厳しい寒さの続く中を、ジャンバーの襟に顔をうずめながら、NPO法人奈良の食文化研究会の「大和肉鶏のさばきと料理講習会」に参加した。
かつて奈良は鶏肉の一大産地であった。古来鶏肉は、その肉色が柏の木の葉の色に似ていることから「かしわ」と云われていたというが、「やまとかしわ」は京都をはじめ近畿でその名を馳せる有名ブランドであった。

そのブランドを復元しようと奈良県畜産試験場で研究が重ねられ、昭和57年、鶏肉では最高の味と言われたシャモを活かして、西欧の優良肉鶏ニューハンプシャーに日本の優良肉鶏名古屋コーチンをかけたものにシャモをかけた血統75%となる肉鶏に「大和肉鶏」と命名した鶏が登場した。
ブロイラーの飼育期間が約60日であるのに対し、大和肉鶏は123日も飼育し、シャモの系統を引き継いだ骨太であるが肉質が締まった、素晴らしく美味しい肉鶏である。日本古来の「かしわ」にきわめて近い優れた味の鶏肉だが、飼育期間が長く、いささか高価である点はやむを得ない。
講習では大和肉鶏雌雄二羽を解体、各部位を確認しながら調理、試食した。大きな俎板に載せられ羽毛を除去した2羽はわずかにピンクがかった白色で、撫でたくなるような美しさであった。オスは3.7`、メスは2.6`とかなりの差があり、メスは身が柔らかで脂肪が少なく、オスは身が締り脂肪が多い。
圧巻は、プロの包丁捌きと各部位のスピーディーな除骨である。見るまに(約10分)見慣れた「モモ肉」「胸肉」「ささみ」「手羽」等に分離されて皿に盛られた。
中でも、少ししか取れず、解体直後しか食べられない部位の試食は貴重であった。意外なのは精巣の湯通しで、真白な塊のスライスを口にすると、口中で一瞬に溶けた。こんな食感は初めてである。
勉強会の後、講習会場の店の新メニュー「コラーゲンたっぷりの鶏しゃぶ」を食した。乳白色のブヨンとした塊を鍋に入れると、一瞬にさーっと溶け鶏のコラーゲンスープができた。豚のトンコツのように重くなく、軽い、あっさりとしたスープで、胃にもたれない。しゃぶしゃぶは胸肉のスライスで、柔らかいが締りがありさすがは大和肉鶏だ。
胸肉には疲労回復に役立つ「イミダペプチド」が含まれている。鳥類が長距離を飛ぶための疲労回復成分であるという。
今年の遷都1300年祭にあたっては、「やまとかしわ」の伝統を生かした「大和肉鶏」を、ぜひとも全国ブランドに育てたいものである。
*大和肉鶏専門店「物集女」電話0742(36)5560奈良市(新大宮駅西150m)

NPO法人奈良の食文化研究会  山根清孝
 TEL:0742-33-3939