これぞ手延べ麺−鮑腸汁−


(ほうちょう汁:手打ち麺の味噌煮込み)〜今昔の花街・元林院町に見る〜 12月の中頃、寒い中、猿沢池を横切り、格子窓の町家が並ぶ元林院町界隈の田舎料理「いづみ」へ足を運んだ。玄関には「鮑腸汁」と赤い提灯があった。 店内はこじんまりとし歴史を感じる家庭的な空間であった。
早速、ご主人が何やら団子状を手の中で、揉みつつ、親指で押しながら下へ伸ばし始めた。そして約30センチ程、伸びた頃であろうか、一気に両手一杯に引き伸ばしたのである。
「あれ?」。
それは一本の紐状でなく二本に引き裂かれているのである。
「え? いつの間に?」。
まるで手品のような一瞬であった。従って、そこには伸ばす板の台も、伸ばす棒もない。もちろん内粉もしない。不思議でならない程、この技は相当な熟練を要しているのであろうもちろん、目の前で、手延べしてくれる技に余計食欲を誘われた。
  ご主人に鮑腸汁の言われを尋ねると、戦国時代に大分の大名、大友宗麟は鮑の腸が大好きで、旅先でそれが調達出来ない時、お店の方が小麦粉を練って団子を作り、それを紐状に伸ばして、汁物として出したことが始まりのようである。それをこのお店で45年程前から出しているのとのこと。
間もなく丼鉢一杯入った鮑腸汁が出て来た。
麺はモチモチとした、正に手造り風の波打つた紐状の麺であった。そして打ち粉を使用していないので麺に雑味がなかった。 具材は鶏肉、ねぎ、蒲鉾、干し椎茸、えのき茸、薄揚げと一杯入っており、お味噌は何と四種類も合わせているのである。

こうしてお店の方と話し込んでいる内に、お汁は一滴も残さず飲んでいた。そんな美味しい大友宗麟お気に入りの手打ち煮込み麺であった。
元林院町はかって、明治初期から昭和の40年代頃まで、華やいだ花街であったようで、大正時代から昭和初期の最盛期には200人を超す芸妓さんがいたそうである。そしてあちこちに芸者置屋があり、三味線の音と奈良小唄などが聞こえていたようである。そして、ここ「いづみ」も元は置屋で、この棟並びには江戸時代の建物が残っているところがあり、看板によると、そこも昔は芸者置屋であった。

元林院町はそんな町家が残っているセピア色の隠れスポットである。
お問合せ0742-22-7255

NPO法人奈良の食文化研究会  山根清孝
 TEL:0742-33-3939



作ってみよう「山かけどんぶり」


「材料」
ご飯は丼茶碗に相当分、マグロ2、3切れ、山芋約100c前後、出し汁少々(市販の麺つゆでも可。濃さは好みに応じて)、しょうゆ適量、卵1個、のり、胡麻、わさび適量。

「作り方」
ご飯の上に次の順に乗せていく。
@マグロ(予め醤油漬けしておく)
Aとろろ芋(卵の白身を混ぜる)
B出し汁
Cしょうゆ(@の残り)
D卵の黄身
Eノリ、胡麻、わさび