プロトンダイニング


奈良市新大宮にこの春オープンした、本格的な創作フランス料理店の「プロトンダイニング」を紹介しよう。この店の最大の特徴は、何といってもフルコースディナーがなんと3800円で食べられることにある。

店のコンセプトはこうだ。選りすぐりの地元の新鮮素材を用いた本格的な創作フレンチと快適食空間の提供。若草山、春日大社、お水取り、築地塀、燈花会、飛火野など奈良をモチーフに現代風にアレンジした店内の演出デザイン。落ち着いた照明、ゆったりとしたテーブルなど大人の空間で優しいひと時を過ごせる。 夜はジャズやクラシックなど日替わりの生演奏が食事を一層楽しくしてくれる演出があり、それでいてリーズナブルでちょっと贅沢な夜を楽しめる素敵なフレンチ店である。 これで、3800円だというから驚きである。

さて、本日の料理は、
福岡産焼き茄子と大分産鰺のミルフィーユ
大分産剣先イカのファルシ イカ墨のリゾット詰め
熊本産栗のスープ
長崎産鯛のポワレ バーニャフレッド
佐賀産みかんのグラニテ
宮崎産国産牛ロースステーキ ソースシャスール
パン
いちじくのタルトの8品で食べきれないほどの量である。

「飽きがこないように季節の変わり目と週替わりで献立を替えています。地域産にこだわり、安心、安全なお料理をリーズナブルな価格でご提供しています」とマネージャーの弓削さん。
どの料理もこの値段でよくぞここまでという次第点の味である。
だが、ここまでは普通のフレンチの店とかわらない。

プロトンのキッチンシステムは驚きである。 不思議なことに、この店のキッチンは考えられないくらい狭い。 その秘密、実はプロトンの料理、日中に別のスタッフで作られている。事前計画調理システム、つまり冷凍ストックしているのである。

なんだ冷凍か!と思うことなかれ。プロトンの冷凍技術ただものではなく凄い! 解凍したものと生のものと食べ比べてもほとんど遜色がない。 これが冷凍?なぜだ!信じられない!と誰しも驚愕する味なのだ。 このプロトン凍結は、調理品だけでなく、魚介類も各地の港に設置されたプロトン冷凍機で凍結される。漁港の鮮度そのままに奈良に到着し再現されるのである。

プロトンダイニングの親会社は菱豊フリーズシステムズという冷凍設備を販売する企業で、その冷凍技術は世界に誇れるものである。

驚愕の冷凍技術のしくみはこうだ!
従来の冷凍では、凍結した水分の塊が食材組織を壊してしまう。だから解凍時に旨み成分も一緒に溶けて流れてしまい味が悪い。
一方、プロトンの冷凍は食材組織を破壊させにくい技術だ。それは凍結の際に磁石と電磁波をあてて氷の粒を極小にすることで食材の組織を守るのである。すなわち生で調理したものと遜色のない味を提供できるのだ。
この先進冷凍技術、世界各国や日本のあらゆる方面からの引き合いがあるというのも納得である。
奈良が誇る世界の技術で新しい奈良の味の誕生に期待がかかる。平成の食文化ルネッサンス到来の予兆である。
この冷凍の味、信じる方も信じない方も一度賞味して確かめて見るのも一興である。
プロトンダイニングは近鉄新大宮駅から大宮通りを西へ約5分。要予約。
電話0742-36-7665  http:www.proton=dining.com

NPO法人奈良の食文化研究会  木村隆志
 TEL:090-1021-0460