究極、大和の「たまごかけごはん」


大人から子供まで多くの人に愛される卵料理。その卵料理の中でも、最もシンプルで、しかも卵の善し悪しで味がわかるのは『たまごかけごはん』ではないだろうか。

「昔の卵はおいしかった」「たまごかけごはんは御馳走だった」とよく耳にした。確かに昔の卵は、平飼いで安全な餌を十分に食べて育った鶏は、味が違ったように思う。現在、流通している大半の卵に比べると貴重で栄養価も高かったように思う。

昔おいしかった、たまごかけごはん。 奈良産できる究極『たまごかけごはん』が食べたくなってそれぞれの素材を探し求めた。

先ずは卵である。そこで昔ながらの平飼いをしている鶏の卵を探した。見つけたのが奈良市矢田原町にある竹内孵卵場。こちらでは、ひよこの孵化から採卵までを一貫管理されていて、衛生的な高床式手飼鶏舎で元気に手飼いされた元気な鶏の有精卵を生産されている。

この卵は厚みと弾力があり、これぞ、昔のご馳走だった卵に最も近い卵ではないだろうか。これなら、昔の御馳走『たまごかけごはん』を再現できると実感。

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そして次は米の選定である。米もまたとことん奈良にこだわると奈良県産の『ヒノヒカリ』になる。粘りつや、旨味とも「卵かけごはん」にふさわしい米である。
そしてさらに米を炊く水にもこだわる。川上村の天然水に奈良の地酒『やたがらす』を少し入れ、釜めし用の釜でふっくらとしたごはんを炊きあげると、炊きあがった御飯は、ほんのりと芳醇なお酒の香りがただよう。ヒノヒカリの甘みが引き出すには充分な仕込みである。透明感と光沢のあるツヤツヤごはんは、これだけでも食欲を刺激する。

さあ、ここまでくれば、これらに合う出汁醤油にもこだわりたい。
奈良市手貝町で醸造の向出醤油醸造元の『宝扇手作り醤油』は、創業以来のこだわり製法で大量生産にはない風味と香りがあるということで有名だ。 この醤油に酒、砂糖を少し加え、最後に大和肉鶏の油を少し加えた特製出汁醤油を作った。

最後の付け合わせに東大寺大仏殿にある今西本店の奈良漬をつけた。
まだある、次はごはん茶碗。地元の土で採れたものは、地元の土でできた器でと、これまた赤膚焼のごはん茶碗にこだわる。
こうして出来あがったのが、『大和の究極のたまごかけごはん』だ。

卵、ごはん、出汁醤油、器、漬け物すべての素材を奈良県のものだけを使って、それぞれがうまく互いの特徴を引き立たせた『大和の究極のたまごかけごはん』は、昔の御馳走ではなく、現在でも贅沢な御馳走と言える逸品に仕上がったのである。
また、この竹内孵卵場の有精卵を使って、だし巻き卵を作ってみたが、ふわっと出汁が口の中に広がり、しっかりした弾力、卵本来のよい風味。生とはまた違う美味しさがあってたまごかけごはんとセットで楽しんでみるのもおつなものである。

『大和の究極のたまごかけごはん』は、大和肉鶏を使った料理とも組み合わせれば『大和の究極の親子セット』も楽しめる。奈良で採れたものを組み合わせて『うまいもの』を作る。地産地消とは、こういうことではないだろうか。

NPO法人奈良の食文化研究会  
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