幻のネギ結崎ねぶか


「結崎ネブカ」は戦後市場から長く忘れられていたが、やわらかく、あまくておいしいとの評判を得て、近年また市場に出回っている。その「ネブカ」復活をされた生産者中心メンバーの一人、川西町吐田(はんだ)にお住まいの宇野正増(うのまさぞう)さんを訪ねてお話を伺った。宇野さんによると、幻のネギ「ネブカ」は川西町結崎がふるさとであるという。そして、こんな逸話も言い伝えられているという「室町時代のある日のこと、空から突然怪音とともに寺川のほとりに、翁の能面一個と一束のネギが落下した。村人は能面をその場にねんごろに葬り、ネギをその場に植えたところ見事なネギに生育し結崎ネブカとして名物になった」という話である。
また、この地には観世能発祥の地として知られる「面塚」もある。



宇野さん曰く、「結崎ネブカ」は戦前まで大和野菜の王様として名をはせ、やわらかく甘みがあり、子供のころネブカを入れた「鶏のすき焼き」は最高の贅沢でした。と懐かしそうに話す。
シャキッとしないネブカの柔らかさは戦後当時の消費者には好まれなかった。それと見た目の悪さと市場流通(風等に弱く折れやすい)に適さないからと市場から次第に姿を消し、細々と一部の農家の自家用として栽培されていた。

近年になり「幻の結崎ネブカを復活させよう」と地元農家が立ち上がり、平成14年から川西町商工会が中心となり、一部の農家で長年細々と自家栽培されていた品種を、町おこしの事業の一環としてスタートさせた。平成16年8月に商標登録し順調に市場の支持を得るようになる。

「結崎ネブカ」は「緑葉部がやわらかい」「とろっとした濃厚さ」「甘みが引き立つ」など独自の特色を持ち、通常の青ネギに比べ栄養が豊富に含まれ鉄分、タンパク質は1.5倍ビタミンB1、B2、Cそれぞれ1.4倍カルシュムは1.3倍多く含まれているというデータがある。
最近の市場からは「懐かしい味」「ネギ本来の味」と評判で「炊き」「焼き」料理に独特の甘みとおいしさが生まれる。
料理としてはネギ焼き、すき焼き、ぬた和え、焼きとり、グラタン、味噌汁、豆腐の味噌ネギ焼き、たこ焼き、豚汁、鴨鍋など用途も広い野菜である。取材当日、宇野さんから頂いた「結崎ネブカ」を早速、すき焼きにして頂く。なるほど甘さ、柔らかさは抜群でとてもおいしい。

生産のシーズンは10月から1月中頃まで続く。是非一度、賞味していただきたい一品である。お問い合わせはJAならけん川西支店(0745−44−2711)まで。



NPO法人奈良の食文化研究会  水谷直利
TEL:0742-33-3939


作ってみよう「結崎ネブカのぬた」



「材料 4人分」結崎ネブカ280g いか100g 白みそ80g
(A)さとう大さじ1と2分の1
酢大さじ2と2分の1 ねりがらし小さじ1



作り方
@ネブカはゆでて4cmくらいに切る。
Aいかは皮をむき斜めに切り込みを入れて短冊切りにしてさっと茹でる
BAを混ぜ1、2をあえる。