大和当帰
1月21日は大寒。暖かい冬のせいか、少し寒くなっただけでもその反動で余計に体が冷えるようである。冷えは万病の元。冷え性に効く良薬が奈良県から生まれた。中将湯や命の母をご存知だろうか。中将湯は明治に「津村重舎 ・現(株)ツムラ」が、命の母は「笹岡省三・現(株)笹岡薬品」が江戸幕末に世に出した。いずれも宇陀市出身者である。共に当帰や芍薬などの生薬を主にした婦人良薬で、女性保健薬の代表ブランドとして今も長年親しまれている。
葛城市の大和薬草株式会社代表 住野弘明さんも大和当帰栽培農家の一人だ。秋に訪れた山麓の農園には当帰の尖った葉が勢いよく繁っていた。当帰はセリのような独特な芳香で、リグスティラードやブチリデンフタライドと呼ばれる機能性成分が主成分で香りが強いほど薬効があると言われている。根は3年宿根の大きくなったものが価値があり、住野農園では今年2年目で来年の収穫を待っている。「根」は生薬で、薬事法で一般に売ることはできないが、「葉」は食用として利用できるので、薬膳料理などの飲食や加工用食品に注目されている。
住野農園では26年に大和当帰栽培と大和当帰葉の加工品開発事業で国の6次産業総合化事業計画認定を受け、大和当帰葉の加工品開発を推進している。開発中の商品は、「やまと当帰葉の粉末ドレッシング」「やまと当帰葉入りサイダー」「やまと当帰葉入りのど飴」「やまと当帰葉入りグミサプリ」で、いずれもこの春の販売をめざしている。
やまと当帰葉の粉末ドレッシングは、大和当帰葉を約30%使用した香り高い商品で、野菜サラダや、焼肉やスープにも良く合い女性にも高評価だ。商品の原材料は、大和当帰葉パウダーにハーブ、塩、鶏ガラスープで調味されていて一味違う万能調味料となっている。このドレッシングを使うと不思議に汗が滲んでくる。どうやら、当帰の持つ機能性成分のせいらしい、体が温まる所以である。ラーメンやスープに使うといっぺんに風邪が治りそうである。その他の商品もすっきりとした味で嫌味がなく、ほのかに当帰葉の香りを効かせた万人受けする商品に工夫してある。「当帰葉は体によいが、商品は美味しくなければ長続きしない、普通に日常に食べていただける商品づくりが大切だ。」と住野さんは言う。 そんな大和当帰葉を使った料理は、酪農カフェ「酪」でも食べるとことができる。「やまと当帰葉入りのランチ」鶏モモステーキと野菜サラダ、野菜スープ、ジェラートのセット。いずれもやまと当帰葉を使った体に良いものが提供される。観光の途中に是非、立ち寄られてはいかがだろうか。
酪農カフェ「酪」 木村 隆志 |