下北山温泉きなりの湯−下北春まな料理−
“きなり”は純粋、素朴、混ざりけのないと言った意味で、世界遺産・紀伊山地の霊場と参詣道「大峰奥駈道」の東側に広がる下北山村は、“本物の暮らしのある村”との願いを込めて「きなりの郷」と称している。
下北山まで、国道169号線を車で橿原から約2時間、四季折々の風情が楽しめる快適なドライブコースである。
下北山村では、都会では味わえない原風景の中で村人はゆったりと人情味豊かに暮らしている。
平成10年“きなりの湯”は村営の温泉として開設、村民をはじめ下北山を訪れる遠来の人たちの疲れを癒す湯として人気がある。
豊かな湧き湯はナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉で、神経痛・筋肉痛・慢性消化器病などに効能がある。
奥吉野に伝わる民家をモデルにして建てられた立派な木造建築「きなり館」には、浴場(露天風呂、サウナも)、憩いの大広間、名産物の売店、レストランきなり亭がある。
子供から大人まで多くの人たちが集うと館長の森本さんは語る。
きなり亭の料理長吉川さんは、京都で修業を積んだこだわりの料理人で、誰もが楽しめる献立作りに腕を振るう。
メニューは和食から洋食まで幅広い。そのなかの「まなうどん定食」は名物の一品だ。下北で代々自家栽培されてきた“下北春まな”(大和野菜に認定)を使った料理である。
村で開発した春まな粉を練り込んだうどん、豆腐やアイス、めはり寿司とのセットである。
下北山の“めはり寿司”は春まなの漬物を寿司めしに巻いたもので、高菜漬けを巻いた熊野のものとは違う。
また、熊野灘から奈良を結ぶ街道筋で南の熊野にさんま寿司が、北側の上北山や川上に鯖寿司(柿の葉寿司)があるが、下北山では春まなめはり寿司である。
昭和39年アーチ式池原ダム(堤高:111m)が発電用として下北山村池原地区に竣工した。大台ケ原の豊富な降雨を水源とする北山川(熊野川)流域のダムで、国内最大の貯水量をほこる。
ダム湖はバス釣りの聖地でもある。ダム直下から木立ちも美しい“下北山スポーツ公園が広がる。
村は郷土の創生にスポーツ公園を整備し、サッカー場、テニスコート、オートキャンプ場、吉野杉ホールなどを開設、宿泊施設も用意されている。村外から訪れる若者のサッカー合宿などで賑わう。
土曜朝市で地元の野菜も販売されている。“きなりの湯”はスポーツ公園の山側の高台にあり、合宿の若者も利用する。
また、30年ほど前から、池原ダムを背にした野外ステージで「山の音楽祭」も開かれている。
同時に、なら国際音楽アカデミー(主宰:朝倉泰子氏)は、村と連携して著名な演奏家を講師に招いて、音楽の道を目指す若者の“緑陰キャンプ”を毎年開催し、吉野杉ホールで演奏会も開いて村民との交流を重ねている。
6月13日から県内で開催の「ムジークフェストなら2015」の最終日28日には、「12人のチェロアンサンブル」を下北山中学校で開催、キャンプで学んだ若者も出演する。
この4月から村長を務める南さんは、下北山の美しい山里の生活を維持しつつ、Uターンする人、村外から移住する人とともに、若者から高齢者まで助け合って暮らせる“きなりの理想郷”を目指している。
「下北山温泉きなりの湯」
奈良県吉野郡下北山村上池原282
07468-5-2001
営業時間
温泉:午前11時〜午後9時30分(最終受付午後9時)
レストラン:午前11時30分〜午後9時(ラストオーダー午後8時30分)
売店:午前11時〜午後9時
定休日は第2、第4火曜日。
的場 輝佳
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