こだわりの牛乳を届け続ける植村牧場 8月の猛暑の中、奈良市の市街地に隣接する植村牧場を訪ねた。入り口では牛のオブジェがお出迎え、遊園地のような雰囲気にテンションが上がった。 1883(明治16)年の創業から四代目となる、代表の黒瀬礼子さんにお話を伺うことができた。 植村牧場といえば、地元食材の「奈良漬」「大和まな」「小しょうが」「あすかルビー」を使った「アイスもなか」の開発で、メディアに取り上げられることが多い。 だが、黒瀬さんは「うちの主流商品は低温殺菌(75度で15分加熱)の牛乳です。毎日休まず、700〜800本の牛乳を近隣に宅配しています。 そのほか奈良ホテルや喫茶店、レストランへも材料として納品しています。アイスクリームなどの加工品の製造は、余剰の牛乳があるときだけに行っています」とのこと。 私も低温殺菌の牛乳を飲んでみたが、なるほど普段飲んでいる紙パックのUHT殺菌(135度で数秒加熱)乳と一味違う、牛乳本来の風味を強く感じられるものだった。代々受け継いで来られた「健康な牛を育てることが、おいしい牛乳を造る」という牧場のこだわりを感じた。 30頭の牛たちは熱い夏が苦手そうだが、創業当時からの木造茅葺(かやぶ)きの牛舎でゆったりと休んでいた。
牛たちは、天気の良い日は運動場へ出て、お日様をいっぱい浴びているそうだ。
取材に行った日はちょうど定休日だったため、残念ながらランチをいただくことができなかったが、今度はぜひ、のどかな牧場でランチをいただこうと思う。 増井 義久 |