ホテル日航奈良〜和処よしの「万葉御膳〜奈香味」


JR奈良駅西口直結のホテル日航奈良。国内外から多数の利用客を集めるこのホテルで、今年3月から来年2月までの期間限定メニューとして提供が始まったのが「万葉御膳〜奈香味(なごみ)」
和処「よしの」でランチタイム(11時30分〜14時30分)に提供されている。
奈良県の『記紀・万葉プロジェクト』と連動したこのメニュー、万葉集の歌を取り上げながら奈良の食と観光をPRしようとするものである。

「万葉御膳〜奈香味」は、ホテル日航奈良と国立大学法人奈良女子大学「奈良の食プロジェクト」との共同開発メニューである。共同開発が始まったのは昨年4月。
ホテル日航奈良から奈良の食プロジェクトに、「『記紀・万葉プロジェクト』と連動した食の企画をやりたい」とオファーがあったという。
それを受けて、奈良の食プロジェクトでは、生活環境学部2年生(当時)の山下実菜美さんをリーダーにプロジェクトチームを立ち上げ、約1年間かけてようやく提供にこぎ着けた。

メニューの開発にあたり、最初に始めたのは万葉集を読むこと。その中から、奈良にまつわる季節の歌を選び出した。実は、ここが一番難航したステップ。
奈良の食プロジェクトに所属する多くの学生は生活環境学部の理系学生。万葉集など高校時代、古典の時間にちょっと学んだ程度である。
慣れない古文に頭を悩ませながら選び出した万葉歌について、それぞれの歌の持つ意味も考えながら、「万葉御膳」にふさわしい歌を選び抜いた。

さて、「よしの」料理長の田中準二さんによると、「万葉御膳〜奈香味」は女性に人気だとか。
そのメニュー内容は、旬の味覚、季節の口取、鮮魚三種盛、焼き物または揚げ物、せいろ蒸し・六種類のソース、御飯・留椀・香の物、デザートとなっている。
特に、六種類のソースが添えられた野菜たっぷりのせいろ蒸しが評判だとか。
学生たちに課せられた課題は、万葉歌にちなんだ六種類のソースとデザート。2ヶ月ごとに2首の歌を選び、それらにちなんだソースを考えた。
ちなみに9・10月の歌は、
「味酒 三輪のはふりが 山照らす 秋の黄葉の散らまく惜しも」(長屋王)
「秋山の 木の下隠り 行く水の 吾れこそ益さめ 御思ひよりは」(鏡王女)
の2つで、これに合わせたソースは
@奈良漬けタルタル、A胡麻創酢、Bそうめん塩、C柿ドレッシング、D酒粕創酢
Eりんご柚香酢。そうめんは「三輪」、酒粕は「味酒」にちなんでいる。
そして、デザートは黒ごまプリン。上に生クリームと甘露煮を乗せ、秋の夜空に浮かぶ月をイメージしている。

ところで、この「万葉御膳〜奈香味」。できる限り食材も奈良県産のものにこだわって作られているが、奈良を食べて味わうだけではない。
もう1つのお楽しみは「ランチョンマット」。万葉歌の解説、そして、ゆかりの地の案内が掲載されている。
食後には、万葉歌ゆかりの地にハイキング、などという楽しみ方もある。奈良を深く知ることができる「万葉御膳〜奈香味」ぜひ味わってみてはいかがだろうか。

村 仁知



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