葛城高原の「かも丼」
お水取りも済んでいよいよ暖かくなる季節だ。まだ風は寒いが、陽光降り注ぐ一日、高原の歴史散歩と飛びきりの「ご当地丼」を楽しみたいと御所の葛城の地を訪れた。 葛城の古道をたどって歴史にひたった後、ケーブルで葛城山に登り、眼下のまほろばの地と青垣の山々を堪能して、目指す葛城高原ロッジの「かも丼」をいただくことにした。 鴨は鍋が定番であるが、昼食には丼の方がぴったりくる。ロッジの代表の細川清利さんに話を伺った。ここの鴨肉は葛城山麓で合鴨を飼育している棚田農園のものを使用している。合鴨は鴨に脂を付けやすいアヒルを交配したもので、程よく脂の乗ったおいしい鴨肉に仕上がる。お米は奈良県一といわれる吐田(はんだ)米の地元の地域で生まれた「金剛米」を使用、さらに地元名産の粘りの強い大和芋を使う、なかなかぜいたくな丼である。
まず鴨肉を炒めてから特製のタレにからめ、熱々のご飯の上にレタスをおき、鴨肉とすりおろした大和芋、刻みのりを彩りよく並べ、真中にこれも葛城山麓で飼育された「美人卵」の卵黄を乗せる。薬味として刻みネギ、わさびが添えられる。鴨族の始祖、大鴨積は朝廷から「君」の姓を賜与され鴨君と称されたというが、まさに「かもきみ丼」である。
栄養たっぷりで、ハイキングのあとのおなかにはありがたい、少しこってり気味の味わいのあるおいしい丼であった。食事のあとちょっと足を延ばして、麓の「かもきみの湯」に入って帰路についた。いや大満足の1日であった。
これからのうららかな一日に、ぜひ歴史と「かもきみ」を味わっていただきたい。
瀧川 潔 |
特定非営利活動法人 奈良の食文化研究会 〒630-8301 奈良市1116番地の4 イトーピア奈良高畑町408 |