大峯山の名水豆腐


今年も猛暑が続き、各地でゲリラ豪雨による被害が発生した。夏の気候も様変わりしてきたように感じる。
今回は、日本らしい夏を味わうべく、食文化研究会のメンバー6名で吉野郡天川村の洞川を訪れることになった。
洞川は昭和60年に日本の名水百選の1つ『ごろごろ水』で有名だが
私たちのお目当ては、そのごろごろ水を使った『名水豆腐』を味わうことである。

お天気にも恵まれ、杉木立の間を快適なドライブで、橿原神宮前から1時間15分ほどで目的地に到着した。今回の訪問先は、この地で100年、代々手作り豆腐を作り続けておられる『山口屋』である。
この道25年のご主人からお話をうかがった。ご主人は、「豆腐作りはこの方法以外は知りません。」と頑なに代々受け継がれた技術を護り続けておられる。「うちでは、ごろごろ水が名水百選になる以前からこの水を使っています。」とのこと。源泉より店内まで直接ひいた『ごろごろ水』をふんだんに使って作られたお豆腐を試食させていただくことにした。

まずはできたての豆乳を飲ませていただいた。最近はスーパーなどでもパック入り豆乳を販売しているが、そのままでは飲みにくいため、市販の豆乳の大半は飲みやすく調整されており、これではお豆腐を作ることができない。
ところが山口屋でいただいた豆乳は、何も手を加えていないのに、喉越しの良いスッキリとした味わいで、夏の日差しが照りつける中、一気に爽快な気分になり、今までに経験したことのないものであった。水が違うとこんなにも違うものかと驚いた。

続いて『名水豆腐』を試食させていただいた。
ご主人が「うちの豆腐は、木綿豆腐の製法ですが、食感は木綿豆腐と絹ごし豆腐の中間です。」と言われる通り、表面に確かに木綿の布目がついているが、食べてみると実になめらかな食感で、もちもちの絹ごし豆腐といった感じであった。お奨めの食べ方を尋ねたところ「夏は冷奴、冬は湯豆腐」と即答された。
豆腐そのものを味わうことのできるシンプルな食べ方が一番ということである。今回は良く冷えたお豆腐を試食したが、何もつけなくても、お豆腐の味でいくらでも食べられそうである。

ご主人が1人で製造されているそうで、1日の製造量にも限界があり、この日も2時過ぎにうかがったときはすでに売り切れで、何人ものお客さんを申しわけなさそうに断っておられた。
電話で事前に予約をしてあったため、研究会メンバーは無事に購入することができ、保冷容器に入れて持ち帰ることができた。
1丁(300円)ずつ買い求めたが、市販の豆腐の2丁分以上のサイズでどっしりと重たかった。豆腐以外に揚げやひろうすも製造されているそうで、こちらもふんわりとしておいしいとのこと、次の機会には是非これをいただくことにしよう。

池内 ますみ



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