「大和の味の風」に誘われて
新たに奈良を加えたミシュランガイドが出版された。このガイドはミシュラン兄弟が、車での旅行に役立つ実用的な情報を提供するため、1900年に出版されたのが始まりである。
星をつけるシステムは1926年より導入され、素材の質、材料のセンス、調味、献立のバランス等で決められる。
いつも変わらず素晴らしい料理が提供されることも重要で、調査員は品質や一貫性を確かめるために必要なだけ
何度も足を運ぶ。
しかし、その星の数は毎年見直されて更新される。
五月の昼下がり、桜井の「味の風 にしむら」を訪れた。今年、一つ星にかがやいた店だ。
その店は、ビルの一階にあり、よく見ていないと通り過ぎてしまいそうだ。
木の扉を開けると、目の前に十席の低いカウンタ−が広がり、向こう側は調理場で手元がよく見える。
デザ−トは黒みつわらび餅でみつもたっぷりかかっている。私達には馴染みのない白下糖を使っているという。
そば茶がまたよくあう。
作り置きせず、季節の新鮮な地元材料を客の目の前で調理する。器も楽しめる。その動きも心地よい対応だ。
この地に店をかまえて七年。「どうして桜井の地に」という問いに「僕の生まれた土地だから」という答えが返って来た。
「奈良のお米も、山田寺の大根もおいしいし・・・」と熱っぽく語る若き主人にエ−ルを送りたい。
「味の風 にしむら」0744-42-7773 桜井市粟殿 月曜定休 昼コ−ス3780〜5250円
佐藤 直美
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