葛城山の山頂で多彩な鍋を堪能〜地元櫛羅の山芋「芋鍋」


1月下旬、標高959メートルの葛城山頂にある葛城高原ロッジへ山芋鍋を食べに行った。
曇天の頂上は雪が残っており、誰も出会わない山道を心細く歩いた。歩くこと約10分で、ボーッとロッジが見えた。
「山芋鍋」。たっぷりのキノコ類(シメジ、エノキ、マイタケ、エリンギ、シイタケ、何とマッタケも)、白菜にネギ、ニラ、ゴボウ、タケノコ、コンニャク、小芋、豆腐、巾着、薄揚げ、別途竹筒に入った練り物。
そして小さいすり鉢に入った一杯のとろろ芋。これでもかと思わせる程の具材の種類と量。また鍋の後に、ラーメンとして、食べる麺とネギもあった。
間もなく、鍋に火が入ると今まで窓越しに見えていた雪景色も鍋の熱気で景色が曇っていた。食べごろのサインである。

さて、とろろ芋はどのようにして食べるのか。私は鍋の上に掛けて食べるのであろうと思っていた。その場合、高価な山芋だけに、鍋に散らばってもったいないと思もっていたが、調理人の方が曰(いわく)。
小鉢に鍋の出し汁、とろろ芋を入れ、具材を絡めて食べるとのこと。
とろろ芋は大和芋(つくね芋)で、非常に粘りがあるから、小鉢の中で散らばることなく、具材に巧みに絡むのである。私は納得した。

この山芋は地元御所市櫛羅(くじら)きでは葛城山麓で古くから櫛羅芋と呼ばれ特産品(皇室まで献上されたことがあるらしい)である。不思議なのは出し汁が非常に何とも言えない美味しい味で、地元で採れた新鮮な野菜のうまみを引き出していた。
具材には畜肉がなく、全て野菜なので、野菜から出る味だけでこんなに、コク、深みが出ない筈である。
また野菜がいくら炊けても、出し汁の味が壊れないのである。聞かずにはおれなかった。

その秘密はカモのガラを野菜と長時間穏やかに煮込み、別途かつお、昆布出しの出し汁と合わせているとのこと。道理で表にカモ臭もない筈である。なかなか真似の出来ない出し汁である。
鍋の他に付け出し(菜の花のからし合え、かぶらの酢物、しら合え)もあった。最後の麺もラーメンとは言え、さらさらと口に入った。
ここの高原ロッジはかも鍋が有名なのであるが、最近の中高年の山歩きのブームから、この人達にきのこたっぷりの山芋鍋をと、4年前から考案されたようです。また、有り難いのは、一人でも食べられることと
「みぞれ鍋」と言い、野菜、大和ポークに柚子風味の鍋に大根おろしを加えながら食べる鍋もあるとのこと。

聞くだけで、中高年にとっては山歩きに合いそうな鍋である。
(葛城高原ロッジお問合せ TEL0745-62-5083)

山根 清孝



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