大根のてんぷら?!


「奈良の食文化研究会」のコラムとして、今年度は「新・大和の食模様」と題し、奈良で古来の食材を活かした新しい料理法や、現代奈良のユニークな料理、現代に必要な奈良の健康食などなどを、県内各地から発掘し広く紹介することにとりくむこととなった。

最初は桜井市の鎌房美子さんが作っておられる「大根のてんぷら」をご紹介する。
「大根のてんぷら」と聞くと10人全てが「何それ?」というほど、何とも珍しい、ちょっと奇妙な感じのする料理である。
ダイコンは地中海や中東が原産といわれるが、ダイコンラディッシュ(ジャパニーズラディッシュ)という英名からか日本原産説もあるという。とにかく日本を代表する野菜で、古来「すずしろ」として春の七草のひとつであり、古事記にも仁徳天皇の歌に出てくる。
奈良では飛鳥時代の大寺院、山田寺があった桜井市山田地区が、土壌の粒子が細かく肌がきれいにあがるため古くから大根の産地として有名である。

JAならけん桜井しき・宇陀統括部の石川智子さんに、桜井市橋本の鎌房美子さん宅へ案内いただいた。美子さんはJA女性部や食生活改善推進協議会で活動する中、身体を壊したこともあって、健康こそが大切と食べ物の工夫に努めてこられた。
体に良く味の良い天然塩の普及の中で、ご主人参加の「菜の花プロジェクト」で身近な菜種油を使い、名産の山田の大根をてんぷらにする工夫を思いついたそうだ。
プロジェクトの祭りで、野草のてんぷらを参加者にふるまうが、これに山田の大根を加えたところ「美味しい!」と評判になったという。

早速、揚げたての大根と野草(菜の花、よもぎ、ネギ坊主、つくしとエビ)の豪華なてんぷらをごちそうになった。菜種油を熱し、国産小麦粉と天然塩を単純に水で溶いたものに、5ミリ厚の半月大根や素材を浸して揚げるだけ。「本当はとれた菜種を絞ったものですが、昨年は不作でこれは市販のもの、そして好みで卵を入れてもいいけど今日は特別に入れたのよ」とにっこり。
まず大根をと、口に入れて驚いた。さわりとした柔らかな歯ごたえ、ほんのりとした甘さが油とまったりした天然塩になじんで、誠に健康的なさわやかな味だ。これはイケる!

大根は確かにいろいろな料理になじむ食材だが、こんなにてんぷらにも合うものかと感心することしきり。大根は低カロリーで、ビタミンA、B、Cに富み、鉄、リン、カルシウム、そして消化酵素ジアスターゼ(アミラーゼ)を含む、誠に身近な健康食材でもある。
他の野草も(特にネギ坊主が美味)大変美味しくいただき、お手製の桜の花の塩漬けをお湯に溶いた「桜茶」もいただいて、健康的で温かな気分で鎌房さん宅をおいとました。

瀧川 潔



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