阿騎の道の駅の前の交差点を東へ菟田野方面に水分神社を左折し御杖方面へ2〜3分でハウスが並ぶ見田に到着。奈良県で最初にブルーベリー栽培を始めた農園ett falt (エトファルト)のオーナーの笹岡美喜子さんの農園である。エトファルトは主に花苗の栽培をしていて、ブルーベリーはその花栽培の端境期対策にちょうどいい農作物であるという。エトファルトの名付け親は長女の美奈央さんで野原≠「う意味がこめられての命名だそうである。


ブルーベリー狩を楽しむ観光客

平成4年、奈良県でブルーベリーの魁となる栽培を始めた笹岡美喜子さんは、もともと京都出身のディスプレイデザイナーですが、この地に嫁いできて子育てしながら出来る仕事を見つけようと、たまたま好きだった花の研修でシクラメンハウスに1年間通った。そのハウスに植えられていた1本のブルーベリーの甘さに魅せられていつかこれを育ててみたい≠ニの思いが彼女とブルーベリーの出会い。笹岡さんは当時を語る。3年農業試験場に通って試行錯誤で栽培開発をしてきました。なにしろブルーベリーは寒冷地の作物で奈良県では育たないというのが通例でした。わからないまま始めて3年間は全くのロスでした。600株植えたのが半分近く枯れた。ブルーベリーは強酸性の土壌を極めて好のむこともわかり、鉢に戻しハウスで養生してそれから畑へと、株も元の600株に戻し、4年後ようやく売れる商品になり現在15年目になる。当時、試験場の先生の勧めでハウスも建てようやく現在の農園の規模になった。


摘みごろのブルーベリー

梅雨時の疲れにブルーベリーは大変健康によい果実。ブルーベリーに含まれているアントシアニンの紫色素は、抗酸化物質ポリフェノールの一種で、ゴマリグナンと同じような働きをし、視神経の働きを支えているロドプシンという色素の再合成を促して、疲れ眼を改善し、視力を向上させるといいます。さらにアントシアニンは活性酸素の生成を抑制し、血液をきれいにする作用もあるため動脈硬化や血栓症を防ぎ、虚血性心疾患や脳血管障害、ガンの予防効果があると考えられ、ヨーロッパでは脳血管障害などの医薬品の成分として使われている。

ブルーベリーは生で食べられる甘みが強く粒の大きいハイブッシュ系と、比較的粒が小さく酸味が強いラビツトアイ系の種類がある。ハイブッシュは7月末までラビットアイは9月まで収穫が出来る。農園エトファルトではブルーベリー狩が楽しめる。1kg1500円入園料無し、但し予約が必要。
エトファルトでは無添加のブルーベリージャムやギフト用の生ブルーベリーも通信販売で受け付けてくれる。これからはブルーベリーだけでなくラズベリーやクズベリーなどもジャムにして無添加ジャムの商品拡大を図りたいと笹岡さんは益々意気込んでいる。


ett falt(エトファルト)オーナー 笹岡美喜子さん

ett faltジャムは185g1000円 90g500円 45g300円

ギフト用1kg箱代送料込みで3500円

ハウスの前に建てられた小洒落れた3棟の事務所も、ジャムの容器やラベルも垢抜けしていてなるほどデザイナー出身の女性が作ったものだと感心する。奈良県下でも地産地消で様々な地域産品が作られているが、売れるマーケティングやデザイン開発に乏しいものも多い。これからはこのように農業マーケティングの時代であると痛感。農業も感性の鋭い女性がどんどん社会進出して欲しいと期待する。
観光ブルーベリー、ブルーベリージャムのお問い合わせは TEL0745-84-3707へ
“ett falt”URL http://ettfalt.com


奈良の食文化研究会:木村 隆志



ブルーベリージャム

<材料>
・ブルーベリー1kg
・グラニュー糖400g

<作り方>
@容器はビンもふたも煮沸消毒して、冷ましておきます。
Aブルーベリーはきれいに洗ってざるにあげ、水気をよくきります。
Bホーローのお鍋にブルーベリー1kg、グラニュー糖400gを入れ、火にかけます。(火加減は中火) このときあまりかき混ぜず、熱で砂糖が溶けてくるのを待ちます
C砂糖が溶けてくると、突然わきあがってくるので、火加減を少し弱め、たまに木杓子でかき混ぜます。
D沸騰してから15分くらいで丁度いい濃度になります。(熱いうちは、ゆるめな感じですが、冷めるとかたくなるので、火のかけすぎはご用心です) すぐに火を止め、熱いうちにびんの口、ギリギリまでジャムを入れ、すて、ビンごと逆さまにして冷まします。