「親の意見となすびの花は千に一つも無駄がない」
茄子(なす)は瓜類と違い、雄花雌花が分かれておらず結実率も高く、枝が茂って、次々と開花結実し、落花が目立ちにくい。
「都とて茄子等までもが味をやる、油(鬢付け油)付けたり串(櫛)をさしたり」大観和尚
「鴫(シギ)焼や茄子なれどもとり(鳥)肴」西行法師
など庶民に親しまれていた茄子ならではの歌が読まれています。茄子は千二百年ほど前から日本人の身近にあり、今も重要な惣菜(そうざい)として息の長い野菜です。

本日の奈良の丸茄子畑は、郡山三橋地区の農協組合長、中西貢さんの所へお邪魔しました。
この地で四十年くらい前に賀茂茄子を栽培されていましたが、賀茂茄子は収穫すると少しの間に色あせて、一般に言う呆け茄子になってしまい、品質確保が大変なので、品種改良しているうちに突然変異で今の丸茄子ができ、品質も変わらず、日持ちも良いので現在では京都、東京へたくさん出荷しているそうです。

また、ハウス栽培にして空気の流れを良くしているので、減農薬も進んでいます。収穫時期は、三月の末から八月のお盆いっぱいまで、二毛作の農家は九月より苺(いちご)を育て、十二月のクリスマスごろより出荷が始まります。

「奈良そごう」後に「イトーヨーカドー」が出店し、地場の野菜として奈良の丸茄子が売りに出されています。ぜひ一度ご賞味くださいとの事でした。茄子は、漢方でも身体を冷やすといわれ、低カロリー食品として夏の料理に適しています。茄子の料理は昔からポピュラー過ぎていますが、最近この地で若い人にも好まれている家庭料理と、ちょっと手間を掛ける料理二品をご紹介します。


奈良の食文化研究会:井上 清孝



焼き丸茄子のマヨネーズしょうゆ焼き・丸茄子シーフード焼き

<材料>
焼き丸茄子のマヨネーズしょうゆ焼き
・丸茄子1個
・油適量
・マヨネーズ適量
・しょうゆ適量
・チーズ、ごま、香草適量

丸茄子シーフード焼き
・丸茄子1個
・油適量
・海老2匹
・小スルメイカ1匹
・ほたて貝柱1個
・枝豆20粒
・白みそ大さじ2
・砂糖小さじ1
・みりん小さじ1
・水大さじ1
・塩・コショウ適量
・小麦粉適量
・ごま適量


<作り方>
焼き丸茄子のマヨネーズしょうゆ焼き
@丸茄子は上下少し切り落とし横に半分に切り、切り面に箸(はし)で数カ所少し穴を開ける
A茄子全体に油をたっぷり付けてフライパンで両面、銀紙他で蓋(ふた)をしながら焼く
B焦げ目が付いてきたら、マヨネーズに好みの量のしょうゆを入れて、茄子にのせ、オーブンかトースターで軽く焼く
Cトッピングとして、チーズやごま、香草(バジル、ミント、ゆず皮千切り等)をのせて軽く焼いても楽しい。

丸茄子シーフード焼き
@丸茄子は上下を少し切り落とし縦に縞(しま)に皮をむき、横に四分の一切りそれを扇形に六つ切りする。残り四分の三は全体に油をかけラップして電子レンジで少し柔らかくなるまで十分温める
A@をざるにあけ、油と水を切っておく
BAを150 〜 160度の天ぷら油で、箸がすっと通るまで揚げて皿に盛る。扇形の茄子は180度に温度を上げてさっと揚げておく
C海老(えび)2匹(皮をむき背わたを取っておく)小スルメイカ1匹(掃除してひと口大に切る)。ほたて貝柱1個(二枚に切る)。枝豆20粒(ボイルして、薄皮もむく)
D白みそ大さじ2杯、砂糖小さじ1杯、みりん小さじ1杯、水大さじ1杯をよく混ぜて鍋に入れ火にかけて練っておく
Eフライパンに油を引き、4の海老、イカ、ほたてに塩・コショウし、小麦粉をはたいて炒(いた)める。扇形の茄子も入れ一緒に炒める
FEにDで作ったみそをからませ、1の茄子の上にかけ、枝豆、ごまで化粧する。