寒い日が続き、お鍋が恋しい今日このごろです。くいしん坊の私は近くで何か温かくて、珍しいものを食べたいなあと思い、見渡すと葛城高原ロッジの名物・鴨鍋がー。早速食べに行ってみました。
ロッジで冷水支配人においしい食べ方を教えていただきました。

土鍋にゆず入り特製出し汁を入れ、まずは野菜を入れて煮えてきたら鴨肉を入れます。サッと色が変わったら食べ時です。くれぐれも煮すぎないように。途中でうどんやつくね芋を入れると消化もよく、満腹感もありました。

鴨肉は、かしわに似た味で、あっさりしているのに香ばしいコクがあり、また歯ごたえもあって、とてもおいしいものでした。少し鴨肉特有の香りも感じられますが、気になるほどではありません。
食べながら、ふと、この肉は肉になる前はどんな鳥なのか気になりました。そこで下山時に、ロープウェーの登山口駅のすぐ下で合鴨を飼育しておられるという御所市櫛羅の棚田徳明さんに、見学がてら教わりにお邪魔させていただきました。

飼うきっかけは、二十五年、六年前に父親から葛城山麓(ろく)の広大なミカン畑を譲り受け、そのころとしては珍しかった鴨を飼育することにしたのだそうです。
下草を食べさせ、後で肉にと一石二鳥の合鴨農法を取り入れました。 最初は二百羽ぐらいから飼い始め、今では週に三百羽ずつ幼鳥を仕入れ、七十五日から八十日ぐらいで成鳥になるそうです。
合鴨はアヒルとカモのよいところを掛け合わせてできた水鳥なのに湿度に弱いなど、ここの気候、風土に合うように飼料や環境を調えるために試行錯誤し、今日にいたっていると教えていただきました。
その後、商品開発も手がけるようになり燻(くん)製、鴨シャブなどをインターネットや、JA、新庄町の畜産奈良ショップなどでも販売しています。

ここで少し葛城高原(山)を案内します。
金剛・生駒・紀泉国定公園の中にあって、一日百万本のツツジ、夏は風が爽快(そうかい)ですし、ススキの波打つ秋、冬の銀世界と四季折々の顔を見せてくれる山です。
近鉄・御所駅からバスで十五分、昭和四十二年開業のロープウェーで六分で山上に着きます。またハイキングがてら、自力で登るのも楽しみのひとつです。
ロッジの鴨鍋のゆず入り出し汁はおいしかったのですが、残念ながら聞いてこれなかったので、私なりに出し汁を作ってみました。栄養満点でヘルシーな鴨鍋をご家庭で囲んで、楽しい夕餉(げ)をー。
鴨肉はスーパーなどでも手に入るかと思いますので、ぜひお試しください。


奈良の食文化研究会:杉本 光枝



鴨鍋

<材料>(4人前)
・鴨肉600グラム
・ハクサイ適量
・生シイタケ適量
・ネギまたはニラ適量
・生麩(ふ)適量
・花形ニンジン適量
・うどん適量
・つくね芋適量
・卵適量
・水1000cc
・昆布10センチ角くらい1枚
・かつおぶし50グラム
・しょうゆ(淡口1対濃口1)30cc
・酒20cc
・みりん適量
・塩少々
・ゆず中3個


<作り方>
@分量の水に昆布をつけておき(20分くらい)、昆布が十分に膨らんだら弱火にかけ、沸騰する前に昆布を引き揚げる
A@の中にかつおぶし50グラムをいれ再沸騰したら、すぐに火を止め、漉(こ)し器で漉す
Bユズをリンゴの皮をむくように1センチ幅でむき、それを斜め切りにする
CAに合わせじょうゆ、酒、みりん、塩をいれて加熱し、3をいれ、火を止める(すまし汁よりやや濃い目)
D土鍋に4を入れ、野菜が煮えたら鴨肉を入れてサッと煮る。煮すぎたら固くなる
Eうどんや、すりおろしたつくね芋を落とす。最後に雑炊にすると美味