宇陀の「金ごぼう」をご存知でしょうか?万葉集にうたわれている、阿騎野のかぎろひで知られる宇陀郡大宇陀町へ、人気の「金ごぼう」を訪ねました。
桜井市内から国道156号を、吉野方面に車を走らせること15分、桜が満開の大宇陀の町に到着。
宇陀のゴボウは昔より、伝統野菜の数えられております。やわらかく、香りのよい「宇陀の金ごぼう」の生産者、上西進さん(47)の畑を訪ねました。
薬600坪のゴボウ畑は、パワージョベルで1メートル近く掘りおこし、畔(あぜ)畝作りが終わったところでした。
ていねいに耕された畑はまるで、グラニュー糖のような、サラサラの土でした。真空播種機という機械で、種をまいておられました。
ゴボウは連作をきらうので、残りの畑は3年間休耕田とのことです。
先代までは鍬とスコップで耕され、手作業だったので、収穫量も少なかったようです。いまは年間4トンの収穫があり、型、大きさなど20種類以上に選別の上、年末に決まった業者さんへ
出荷されていますが、12月の1日だけ自宅販売があり、おいしい「金ごぼう」を求めて、遠くからも来られるそうです。
金色に輝く「金ごぼう」、それは上西さんの畑に雲母がたくさん含まれているからです。ゴボウの生長とともに直根につき、金粉をまぶしたようにキラキラと光ります。
それを見たお客さまから、縁起が良いと言われ、10年ほど前に「金ごぼう」と名づけられたとのことです。
ゴボウはデリケートな野菜で、2日も水につかると腐ってしまいます。そのために雲母を含んだ畑には、適度の傾斜をつけてありました。
その年の気候により、収穫量や、品質の良し悪しが起案ルそうです。種まきを体験させていただいた私のボゴウも、立派に育ちますようにと願っています。
少しゴボウのルーツを調べてみました。最初は中国で薬草として栽培され、利尿剤や化膿止めとして用いられていたようです。
千数百年前「牛房(牛の毛の意味)」という漢字で薬草として日本に渡来しました。当時わが国にはフキ、ワラビ、ウドなど自生品のほかには種類が少なかったので、ゴボウも食用にされるようになりました。
ゴボウには繊維質が多く、腸の働きを良くする効果があります。大宇陀の家庭では、どのような食べ方をされているのか、奥さまの幸子さん(40)におうかがいいたしました。
「宇陀地方では、細いゴボウを自家製のこうじみそにつけこむみそ漬けが、代表的だとのことです。最近は若い人向けに、サラダ風の料理にも人気があるとか。
あらゆる所で活躍する食材なので、常備して、いろんな料理に使ってみてください」とのことでした。
最後に保存の方法を、お聞きしました。30度くらいの傾斜の土の中(プランターでも良い)に1本ずつ並べて、土をかけておくと長く持つそうです。
取材を終えて、ふりかえると、ゴボウ畑は春の太陽にキラキラと輝いていました。
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