旬のものを食べましょうといっても、お店には、ナスやキュウリ、トマト、何でも1年を通して店先に並べられています。一体、ナスの旬はいつなのかなあと考えさせられます。
幼いころ、苺は麦秋の収穫した麦わらでかごを作り、苺つみに入ったものです。
今では苺は、10月ごろから7月ごろまで生産されています。
農業技術の向上と農業施設の導入により、自然環境をコントロールし、それぞれの作物に最適な自然環境をつくり出し、いつでも何でも栽培されるようになりました。
喜ばしいことなのか、案じるべきなのか。結論に苦しむ近頃です。
こんな中、唯一環境をコントロールできない作物は、春3・4月、地温が暖かくなりだすころ、竹薮の土を押し上げ顔を出す
筍(たけのこ)。
はぜみつけ こおどりして土掘れば
白きたけの子顔をのぞかす
昔から変わることのない旬の食べ物はタケノコではないでしょうか。
竹は1730年ごろ、中国から琉球を経て北上、関東近くまで分布栽培された。イネ種の作物。
種類も100種以上あるといわれています。代表的な種類に、孟宗(もうそう)竹、はつ竹、ま竹、みの竹、いろいろありますが、食味する竹といえば、孟宗竹ではないかと思います。
若竹の香りと触食感は、古くから庶民に愛され、食し続けられてきたのではないでしょうか。
料理の幅も広く、懐石料理、中華料理、フランス料理に至るまで、いろいろ使われています。
春の旬にしか出ないタケノコですが、加工技術が進み、1年中出回っています。
しかし、旬のタケノコを旬に、掘りたてのタケノコを年に1度ぐらい食べてください。
私たち竹薮を持っている農家は、消費者の皆さんに旬のタケノコを掘って提供する義務があると、重労働にも負けることなく挑み、皆さんに提供し続けています。
しかし、近ごろではめっきり食してくださる方が少なくなり、寂しい思いをしています。
タケノコほど新鮮さを要求される食材はないと思います。これには流通面にも問題がありますし、調理の面においても料理に入る前の下ごしらえも労力が必要です。
タンパク質をはじめ、糖質、繊維、カルシウム、カリウム、ビタミンなどなど、たくさんのミネラルを含んだヘルシーな食材です。
奈良は京都に次いで良質のタケノコの産地です。調理法もいろいろ、バラエティに富んだレシピも豊富。煮物、和え物、天ぷら、混ぜご飯などなど。
ぜひ1品、わが家の旬の味を味わってください。
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