3月3日は雛まつり。「おひなさん、はよう出してやらんとおひなさんがかわいそうやで」と子どものころから言われてきたこの言葉を、 今は5歳の子どもを持つ息子夫婦に言っている。雛まつりの日までにおひなさんを飾らない家は、子どもが授からないとか、嫁入りが遅れるとか、我々は親世代からそう教えられてきたものだ。

この雛まつり、もとをたどれば、平安時代の宮中の厄除けの行事だったそうだ。これに、当時の子どもの人形遊び(ひいな遊び)とがいっしょになり、江戸時代に、子どもの無病息災を願い、 人形を飾る雛節句へと発展し、女の子のお祭りとなったようだ。

一昔前、大和の多くの言えでは、寒についたかきもちであられを作り、ひなあられとして飾り、お供えをした。また、ヨモギ餅を作り、干しエビで作った紅い餅の間に白餅を合わせてひし形に切った ひしもち、そしてヨモギ団子、五目ずし、これらをおひなさんの前に供えて、家族皆でいただいた。 今でもなつかしく思い出される。

現代では、随分と便利になり、ひなあられ、ひしもち、草団子となんでも店で買って間に合わせることができるようになった。ひなずしもかわいくなって、ちょこんとお皿に並ぶ。 今風でまたこれも格別、おもしろい。


奈良の食文化研究会:杉田 節子



ひなずし

<材料>(4個分)
・すしめし2.5カップ強(米1カップ)
・干ししいたけ2枚(味を付け細切りしたもの)
・ニンジン40グラム(味を付け細切りしたもの)
・薄焼き卵4枚(卵2個、みりん大さじ2、塩少々、かたくり粉小さじ1、水小さじ1)
・ミツバ8本
・小エビ2尾(塩ゆでしたもの)
・紅しょうが少々

<作り方>
@すしめしに味をつけた具(干しいたけ、ニンジン)を混ぜ合わせる
A薄焼き卵で1の五目ずしを茶巾ずしとふくさずし各々の形に包む。茶巾ずしは、湯のみ茶碗に薄焼き卵を敷いて、すしめしをつめると茶巾に包みやすい
B茶巾には、上に塩ゆでした小エビを飾る