「やっぱり昔の鶏肉はおいしかった」との多くの声に答えて、昔ながらの「大和かしわ」を再現すべく奈良県畜産試験場が、昭和四十九年から品種改良に力を入れ、味・生産性などの諸条件を考え、名古屋種、ニューハンプシャー、軍鶏(しゃも)の交雑試験を続けました。
その結果、昭和五十三年に全国に先がけて品種改良に成功し、現在の地鶏(じどり)ブームに火をつけたのが大和肉鶏です。

昔ながら鳥料理として有名な京都の「かしわ料理」は、秋田の「キリタンポ」。東京の「シャモ鍋(なべ)」、博多の「水炊(みずたき)」と並び称され、日本の四大鳥料理の一つであったのですが、その「京都のかしわ料理」のかしわの大半を奈良県産「大和かしわ」が受け持っていました。甘味があり脂肪が適度であり、肉質の締まりのよいおいしい鶏肉と名声を博したのです。

この伝統の「大和かしわ」をひき継いだのが「大和肉鶏」です。現在、県内各地において年間約十万羽飼育され、京阪神、関東方面と全国主要デパートの各店、ライフ、ダイエー、その他有名鶏肉店では高級な鶏肉として高い評価を得ています。

身近なスーパーやお店で鶏肉といえば、ほとんどがブロイラーです。ブロイラーは幼鳥から成鳥まで約六十日、大和肉鶏は百二十―百八十日、しかも広いスペースの自然に近い飼育の仕方をします。
大和肉鶏を食べてみれば、こんなにおいしい鶏肉があったのかと言うほど、おいしいのが特徴です。


奈良の食文化研究会:出口 清一



大和肉鶏の水炊き

<材料>
・大和肉鶏骨付きブツ切り800グラム
・春菊 1把(わ)
・ネギ2本
・人参1本
・サヤエンドウ50グラム
・エノキダケ1パック
・豆腐1丁
・本シメジ1パック
・煮汁=鶏ガラスープ
・鶏ガラ1キロ
・水16カップ
・酒1/4カップ

<作り方>
白いスープのとり方
深めの厚手鍋に鶏ガラ、水、ショウガ、ネギを入れて火にかけ強く煮立て30分くらいすると白くにごりはじめます。
鶏ガラスープの作り方
@鶏ガラはぬるま湯で血やその他をよく洗い、その後熱湯に一度通しておきます
A鍋に鶏ガラスープ材料を入れて強火のまま40―50分ほど煮立て、約半量になったら火をとめ、こしてスープを作ります(約8カップ)
B鶏肉のブツ切りはさっと熱湯に通して霜降りにして水気をとります
C材料の野菜を入れます

食べ方
@鍋に鶏ガラスープ約8カップと酒、骨付き鶏肉を入れて強火にかけ、煮立ったら中火にしてあくをとりながら15分程煮ます(これがポイント)
A野菜、その他の材料を加えて煮たものからスープごととり分け、薬味とともにいただきます
B残ったスープの味を調え、中華めんを入れるとおいしいラーメンができあがります