こんにゃくは、コンニャクという植物のイモ(玉)から作られる。
文献によると、コンニャクイモは、適度の雨が降り、水はけがよく、しかも、あまり日差しが強くない所に育つ。 そして、そのふるさとはビルマ、マレーシア、インドなどの東南アジアといわれている。植物として日本に伝わってきたのは、農耕が始まったころの今からおよそ2000年も前のことと考えられている。
一方、食べ物としては、仏教が中国から伝わったころといわれ、初めは薬として用いられていたようだ。

秋の1日、車で名阪国道の山添インターをおり、山添村春日の方へ向っていくと茶畑が目の前に広がる。春日保育所の前で、コンニャクイモ畑の案内をお願いした「食の達人」中山容子さんに会った。
細い山道をみごとなハンドルさばきで畑に案内していただいた。

周りは茶畑の美しい緑のうねが続き、畑にはゴボウ、サツマイモ、ショウガなどがみごとに育っている。
「わあ!これがコンニャクの木」直径3センチくらいの太さの斑点模様の茎の上に、葉が大きく茂っている。
さっそく中山さんが掘り始めると、土の中から顔を出したコンニャクイモは、2年もので両手のひらいっぱいになるくらいの立派なものだ。

コンニャクイモは、これから茎が枯れてくると堀上げ、1週間から10日ほど干して使う。村では、めでた事、不幸ごと、秋祭りや正月のこっつおに、こんにゃくは欠かせない。 祭りの時には、サトイモ、竹輪、チンゴ、こんにゃくを串にさしてお供えし、それを各家庭に持ち帰っていただく。
こんにゃくを作った日は、ゆでてすぐのものを薄くすいて「さしみこんにゃく」にしたり、みそでんがく」にしたりする。コンニャクイモは収穫したあと、ゆでた状態で冷凍保存し、年間を通して使う。
中山さんのお人柄と、おいしいこんにゃくが評判であちこちから作り方などの講習会の声がかかる。

こんにゃくといえば昔から「腸の砂おろし」と呼ばれ、腸内をきれいにしてくれるという先人の知恵がある。
現在では、グルコマンナンが健康と美容にもよいといわれ、こんにゃくが見直されてきている。
奈良では、山間部の各地域でコンニャクイモが作られ、手作りこんにゃくを作っているようだ。
吉野の黒滝村でも「よもぎの里」や「道の駅」といった施設でおいしいこんにゃくが食べられる。

吉野の酒、しょうゆ、タカの爪少々を合せた汁で煮込んだこんにゃくは、歯ごたえシコシコ、甘くもなく辛くもなく、こんにゃくのおいしさを引き出した何とも言えない味つけが絶品。
ぜひ、手作りこんにゃくを味わいに足を延ばしてはいかがでしょう。


奈良の食文化研究会:村上 恒子



煮込みこんにゃく

<材料>
・こんにゃく1丁
・かつおだし汁300cc
・酒150cc
・うすくちしょうゆ50cc
・みりん50cc
・砂糖大さじ1
・タカの爪1/2本

<作り方>
@こんにゃくは適当な大きさに切り、串にさす
Aだし汁と調味料を合わせて、@のこんにゃくを入れて煮込む